みえない三重津、科学の見地からみる

若楠公民館

若楠公民館

10月の生涯学習講座(わいわい倶楽部)は、佐賀大学名誉教授の田端正明さんを講師に招き『三重津海軍所特注磁器の謎』と題した講義をしていただきました。

化学が専門の田端先生は、三重津海軍所跡から出土された茶碗や皿などの組成成分を分析し産地を特定する研究を行ってきました。出土品はこれまで『肥前産』と大雑把に語られていたそうですが、鉄やストロンチウムの含有量、可溶性成分と難溶性成分の割合などを調べて比較していくと、産地は志田だったり有田だったり波佐見だったりと推定できるのだそうです。
20181025152830-d6e760621dec51a7e958f5b74e634f254b4500f0.jpg

先生がいうには、考古学では皿に描かれた蝶々の数とか波しぶきの形、出土した位置などで推察していくのだそう。これから考古学と議論していかなければならないと話されていて、同じ対象物でもいろいろな研究のやり方があっておもしろいなと思いました。

海軍所跡から出てきた茶碗や皿は水色がかっていて、描かれた文字や模様は藍色。なかなか洒落たものです。講義の中核である胎土成分の比較とか電荷とかイオン半径がどうのとかのあたりは正直さっぱり分かりませんでしたが、よく分かったのは化学分析などなかったその昔、献上品として徳川家へ差し出されたり佐賀城の本丸で使われた有田や鍋島藩窯の焼き物が、現代の科学技術で高級品であったということが裏付けられるということ。(先週今週のブラタモリで有田焼きが紹介されるようですね。)



次回の生涯学習講座は、11月12日(月)10時からです。若楠公民館に集合し、歩いて神野浄水場へ行きます。(雨天の場合は室内で開催します。)
お楽しみに!