鍋島小学校校庭に現存する「古(いにしえ)を偲ぶ残像」~水飲み場

鍋島公民館

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 足洗い場の直ぐ隣の川端に設置されたコンクリート製の給水設備が「水飲み場」であり、整備時期は確か水害後昭和30年前後ではなかったかと思われ、粗々の記憶では以下のようなことが思い起こされる。20200813143006-a55641311c85b3f7785a24376b85f366802f9fb9.jpg

 20200819103727-dc7fb45adbd8cd5521310ed83b8cb5aad49b0f3c.jpg当時鍋島において水道設備は未だ整備されておらず、川の水は飲料水をはじめ、炊事、洗濯、風呂、農業用水など日常生活のあらゆる用途に利活用され、人々にとっては正に「命の源」となっていた。

 そんな中、小学校では子どもたちの学校での飲料水確保の一策として、川の水を浄化浄水して飲み水として利用することになったのではと推察される。

 この給水設備の構造は至ってシンプルで、概ね次のような仕組みである。

 (1)上部の注水・濾過部に、川からバケツで組み上げた生水を10杯前後注ぎ込む。

 (2)生水は濾過部分を通過する際にごみや濁りがある程度除去される構造で、その内部は上から下へ順に、小石や砂利層が厚さ約20cm、川砂の層が厚さ約10cm、棕櫚の樹皮層が厚さ2、3cm程度に敷き詰められ、それらの層を生水が通過することで川水を浄化浄水する。

 (3)下部の貯水・給水部の外周には10個程度の蛇口が取り付けられ、その蛇口を開けると浄化された川水が流れ出る仕掛けである。

 現在では想像もできない程お粗末で不衛生な設備だが、当時を振り返ると学校側としては、子どもたちに、川の生水を直には飲ませられない、あるいは、人の命を守る水の恵みや大切さを体感させる意味もあって整備されたかも知れない。

 20200819103251-f8e58d68368390989644f90675ee2dba7111493a.jpgいずれにしても、現在のように厳しい衛生基準や法規制、減菌薬剤もない時代、この設備の真の整備目的は知る術もないが、この物体の外形だけは現在モニュメントとして二次利用され、今も川端に残されている。(この記事は鍋島校区住民の情報提供によるものです。)