「ひと 鍋島」
校区団体の一つに"保護司会"というのがあります。明治時代の民間篤志家の取組に源を発していると言われており、犯罪や非行のない、安全安心な社会の実現を目指す集まりです。今回は「鍋島地区保護司会」の樋渡泉さんと田中善明さんにお話を伺いました。
―― 「保護司」とはどういう活動ですか。
樋渡さん:保護司は、保護観察官に協力する形で犯罪や非行をした人の立直りを支え、社会復帰を手助けする活動です。法務大臣から委託された民間の無償ボランティアで、任期は3年です。基本的には保護司二人が対象者一人を担当します。
――保護観察官とはどういう人ですか。
樋渡さん:心理学や教育学などの知識を持っている国家公務員で、全国の保護観察所や地方更生保護委員会に配属されている方々です。
――保護司がサポートする対象者はどういう人ですか。
田中さん:保護観察処分を受けた少年、少年院から仮退院した少年、刑務所からの仮釈放者、そして有罪判決を受けたものの執行猶予期間中に保護観察が付された人となります。保護観察官と保護司が協力して月2~3回程度面談をします。
――更生へのサポートはどのように進んでいくのですか。
田中さん:対象者の中には薬物依存症やアルコール依存症で問題を抱えている人もおられます。有罪判決を受けると刑務所にはいりますが、行いが良かったりすると刑期途中に仮釈放が認められ、刑期満期まで保護観察を受けながら社会生活をします。この期間に所謂教育機関が回復のためのプログラムやトレーニングを提供し、保護司も相談役としてサポートします。まだ働ける年齢や状態であれば、依存症の治療や克服とともに仕事につくということが安定した社会復帰に重要だと感じています。
樋渡さん:そうですね。とりあえずアルバイトを始める人もいますが、長期的に見ると、就労が可能であれば、やはりきちんとした仕事に就くことが、生活を整える意味でも重要だと思います。ハローワークや行政の生活支援につなげることもします。理想的には服役中や仮出所している間に何か資格や技能を身につけられたらいいですね。
田中さん:依存症というのは精神的・身体的にアルコールや薬物などに依存することで、自分の意思だけではなかなか辞められなくなった状態です。その治療は病院や教育機関などがするわけですが、刑期満了後、社会に戻ったときにどう生活を建て直していくのかということが本当に重要ですね。仕事を通して自分が何か役に立っているという感覚が持てるようになれば、社会の一員としての自覚と責任感が出てきます。雇用する企業にも理解が広がり、再出発を支えるような社会になればいいですね。
――近年の社会に変化など感じるところはありますか。
樋渡さん:詐欺等で刑に服す人が増えてきていると感じます。家庭環境や相談する相手が身近にいなかったなど、育った環境に要因があったり、摂食障害や発達障害などが絡んでいるケースもあるようです。SNS詐欺や真昼間から強盗にはいったりして、犯罪の意識が薄れてきているのではないかと感じることがあります。
田中さん:刑務所に誰も会いに来てくれなかったという人や、また出所後に帰っていく場所がないという人もいます。小さいころに育った環境などは本人の責任ではない場合もあるかもしれませんが、そこは乗り越えていけるようサポートできればと思います。
――お二人はどういう経緯で保護司になられたのですか。
樋渡さん:私は知り合いからお誘いを受け、何かお役に立てればと思い引き受けました。
田中さん:私は司法書士をしながらまちづくり協議会で地域活動をしてきたのですが、お誘いがあり引き受けました。
――保護司が不足していると言われています。必要な社会経験や求められる資質などはありますか。
田中さん:保護司は相手を理解し、こちらのことも信用してもらうための関係性づくりに熱意がある人が向いていると思います。話を聴くというのはそれ相当の気力と体力が必要です。自分自身が心身ともに健康であること、自己管理も大切です。
樋渡さん:近年保護司の平均年齢は65歳くらいで高齢化し、なり手不足は深刻です。今年度の法務省のキーメッセージは"私が保護司になるなんて思ってもみなかった"というものです。ご関心のある方は一度各校区内にいる保護司にご連絡頂いてもいいかもしれません。
――最後に今後の抱負をお聞かせください。
樋渡さん:担当する対象者に対しては、誠心誠意をもって対応しています。これからも想いは通じるという信念で続けていきたいと思っています。
田中さん:基本はそばについてしっかり話を聴くということだと思います。この保護司に会えてよかったと思われるよう尽力したいと思います。
―本日はお話ありがとうございました。
聞き手:鍋島公民館館長 岸川いづみ









