「ひと 鍋島」
地域の方がボランティアで運営されている"カフェ"をご存知でしょうか。町なかの喫茶店とは趣が異なり、地域の方が地域で集う、それぞれに個性あふれた居場所となっています。今回はこのようなカフェを運営している三人の方にお話しを伺いました。写真左から、溝上桂子さん(カフェハーモニー/鍋島三丁目)、森三枝子さん(カフェ蛎久/蛎久公民館)、古瀬文子さん(ほんそんカフェ/鍋島公民分館)です。
――カフェ立ち上げのきっかけを教えてください。
溝上さん: 「カフェハーモニー・鍋島」は、鍋島校区住民の交流拠点として、令和元年5月30日にオープンしました。地域の方々がふらっと訪れて、お茶を飲みながら話をしたり、ゲーム、麻雀等をすることができる場所です。カフェ開設にあたっては有志が集まり、NPO法人ふくしの家にも協力して頂き、勉強会を通して地域の課題を話し合いました。その中で、"年をとっても住み慣れたところで地域の方々と交流できる場所があれば"という声がありました。最近では、住宅事情の変化に伴い、地域住民同士のつながりが希薄になりつつあり、地域住民の連携が必要であることにも着目しました。地域住民の居場所づくりを推進し、住みやすい地域社会にすることを目的としています。立ち上げには、佐賀市のコミュニティカフェ設立事業助成金を活用し、現在は、佐賀市介護予防・日常生活支援総合事業の助成金を活用して、毎週木曜日に開催しています。
森さん: 私は生まれも育ちも蛎久で、教員を退職してから長生会(※75歳以上の高齢者の会)に入りました。近所に同級生も多く、昔の友人らとの交流を楽しんでおりましたが、カフェを思い立ったきっかけは、私の家の隣に住んでいた石川スマ子さんです。同居されていた息子さんから、最近お鍋を焦がすことがあり心配ですという話をお聞きしたと思ったら、いつの間にか高齢者施設に移られました。石川さんは地域活動のリーダー的な存在で、女性の会の会長でもあり、地域にずいぶん尽力された方でした。その後施設から病院へ移られた話を耳にし、家族葬で見送られたという話を聞いたときは、最後お会いすることもできず残念でなりませんでした。施設や病院での面会もなかなかこちら側の希望が叶わず心残りだったのですが、その後息子さんが突然お亡くなりになり、ショックが続きました。長生会の仲間も一人一人と高齢者施設に移られる話を聞くと、もういてもたってもいられなくなりました。人生最後まで楽しく、みんなと"あっはっはっ~"と笑いながら毎日を過ごしたいとカフェの立ち上げを呼びかけました。どうにか12人から賛同を得ることができ、現在は80―90歳代が多いですが、みんな頑張って1か月1回、蛎久天満宮横の公民館の台所に立ち、皆さんに手料理を振舞ってます。立ち上げには佐賀市のミュニティカフェの助成金を活用しましたが、現在は参加費100円と地元の自治会費からの助成を頂きなんとか運営しています。地域の農家さんからのお米やお野菜の差し入れはとても助かっています。
古瀬さん: 私が住む鍋島本村(鍋島区)は、殆どの人がここで生まれ育ち、小さいころから家族ぐるみでお付き合いしてきた地域です。周りを見渡すといつの間にか高齢者が多数を占め、色々な課題に目がいくようになっていました。そういう中、昨年参加した社協主催の"大和いきがい文化講座"で、「コミュニティカフェ」と「高齢者ふれあいサロン」のことを知りました。地元で是非やってみたいと思いました。でも一人ではできないと思い、地元の自治会長さんや回りの友人に話す中、協力するよと言ってくださる方が10人ほど出てきたので思い切って立ち上げることにしました。現在は2か月に1回、地元の公民分館で、参加費100円を頂きお茶と茶菓子を提供し、おしゃべりに花を咲かせています。私のところも立ち上げにコミュニティカフェ助成金を活用しています。
――私も先日お邪魔させて頂きましたが、みなさんのリラックス感と止まることのないおしゃべりは地域ならではの空間だと思いました。男性の方もいていい雰囲気でしたね。
古瀬さん: 自宅の庭先や道端でご近所さんとおしゃべりするような光景は近年は殆ど見なくなりました。高齢になるとなかなか外出もままならないという方も多く、2か月に一回の再会を楽しみにして頂いているようです。時には涙を流しながらおしゃべりされている光景などを目にするとやってよかったなと思います。最近は外部の講師による防災のお話や脳トレなども用意することもあります。市立の鍋島公民館まではなかなか行けないが、地元の公民分館は顔見知り同士で行きやすいといわれる方もいらっしゃいます。
――どのような方々が利用されていますか?
溝上さん: ほとんどは鍋島校区の高齢者の方ですが、他の地域の方も来られています。麻雀台が2卓あるので麻雀を楽しみに来られたㇼ、コーヒーや軽食のセットを200円で提供しているので、食事とおしゃべりに来られたㇼしています。また、時には、ゲームや運動等もします。それぞれ自主的に参加されています。普段とは少し感じが違うことに気づいたり、会話から身辺環境の変化を把握したりすることもあり、一種の見守りにもなっているのではないかと思います。
森さん: 高齢者から子供連れまで様々で、多い時で100人近く来られるときもあります。蛎久地区以外からもカフェのことを聞きましたと言って来られる方もいらっしゃいます。もちろん男性もいらっしゃいますよ。楽器演奏や歌や手品などを午前中に楽しんで頂き、ランチタイムはみんなでテーブルを動かし準備します。ただ、一般的に男性の中には仕事を離れてからの人付き合いが苦手な方もいらっしゃるようですが、是非見学でもいいので覗いて頂きたいですね。
古瀬: ほとんどは地元の方々で、90代の方も楽しみにして来て頂いています。少し認知症かなと思われる方もいらっしゃいますけど、顔見知りどおしなので、普通に話の輪の中に入って過ごされています。地域の人もみなさん心が温かくて安心感があります。住み慣れたところで気兼ねなく、エプロンしたまま、ちょっと来たよ~、と、そんなカフェです。
――最後に今後の抱負をお聞かせください。
溝上さん: 高齢者が集うこのカフェハーモニーを設立された思いを汲んで長く続けたいと思っております。現在はスタッフ4名(大坪さん、南里さん、正林さん、溝上)とふくしの家の応援で、話し合いながら運営しています。スタッフそれぞれが無理のないできる範囲で、お客様が楽しく、ひとときのやすらぎを得て、そして笑顔で帰ってもらえるようなカフェを続けたいと思っています。
森さん: みなさんがそれぞれに楽しい時間を過ごして頂ける場所を提供していきたいと思っています。幸運にも手伝ってくれる若い人が出てきたので心強いです。高齢の参加者の中には自分の家庭菜園で育てた野菜を持ってきて野菜コーナーに於いて下さる方もおられ感謝しています。にぎやかい楽しい行事を計画して皆様が「楽しかったねー」と思って下さるカフェを続けたいです。
古瀬: 細く長く続けたいですね。地域住民の方のよりどころとして二か月に一回ですけど楽しい時間になるように頑張りたいと思います。また協力して下さる方に感謝しながら、お互いに無理のない範囲でできる人ができるときに助け合ってやっていければいいと思っています。
―本日はお話ありがとうございました。
聞き手:鍋島公民館館長 岸川いづみ









