嘉瀬町で海苔漁を営むのは、現在20戸。その全てが、佐嘉漁港にほど近い加工場で板海苔を生産しています。佐賀県有明海漁協佐賀市支所の野田さんの話によると、海苔加工場団地は平成11年頃から排水対策や効率化のため漁協が協業化を推進してきたもので、佐賀市の協力を得て整備されました。2、3戸ずつが組み、ほぼ自動化された工場内で漁期には日夜作業をしているそうです。
先日、最盛期を迎えた工場を見学させてもらいました。
入り口でセンサーによる体温測定。手指消毒後に上履きに履き替え、工場内に入ります。この日工場内で作業されていたのは2人だけ。海苔漉きから板海苔の結束まで機械が全て行うので、センサーではじかれたゴミ入りのものや破れたものを、仕分けたりするのが人の仕事なんだとか。
40代の息子さんと一緒に漁に出るという、香月さんにお話をききました。
「海苔漁で大変なことといえば、寝不足。あと、自然が相手だからね。天気のことはわれわれではどうすることもできない」と今季の雨不足を嘆かれていました。「おもしろみは、やっぱり良い海苔がとれたとき。値段がいいしね。良い海苔をつくるのは、仲間との競争でもあるし、自分との戦いでもある」
雨量が少ないため海の栄養分が不足し、今季は特に沖の漁場が良くない。さらにはコロナの影響が長引き海苔の値段が下がるのが心配と話す香月さん。そうしたなかでも、工場の外で仲間のみなさんと談笑する姿に、自然と共に生きる人のしなやかさとたくましさを感じたのでした。