戦国時代の遺跡発見!嘉瀬町歴史講座(報告)

嘉瀬公民館

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嘉瀬町中原で戦国時代末期のものとみられる遺跡が発見されたことから、約400年前の嘉瀬町について学ぶ歴史講座を企画しました。第2回は11月17日(水)、遺跡の発掘調査を行った佐賀県文化財保護室の市川浩文さんより調査結果の詳細を報告していただきました。

有明海沿岸道路の工事に伴い発見された遺跡は、周辺のしこ名(古い地名)から「藤三郎(とうざぶろう)屋敷遺跡」と名付けられています。令和2年度から調査が行われました。

R3_7_18.藤三郎屋敷jpg(令和3年8月 現地見学会)


広い所で幅約10メートルの堀跡があり、堀や堀で囲まれた空間から多数の土器や石塔類が発見されました。墓地と思われる場所からは大小さまざまな棺が見つかり、副葬品として折敷や漆椀、中国製の器など高級品といえる品々があったことから、武家か裕福な農民層の墓所であったのではと考えられるそうです。

この日は藤三郎屋敷遺跡から発掘された皿や椀などの数々を持ってきていただきました。触ってもいいということで、参加者のみなさんは撫でたり裏返したりして感触を確かめていました。中にはコバルトーブルーの美しいかけらがあり、これらは中国産だそう。中国産と比較すると、当時の日本の焼き物の技術がまだまだであったことが出土品から見て取れました。

R3_11_17歴史講座.jpg
藤三郎屋敷遺跡は複数の島状地で構成されるいわゆる「環濠集落」の一部と考えられる。また輸入陶磁器が多く見られ、溝(堀)跡の規模が大きいことから、一般の集落ではなく戦国時代の領主層の館(低平地城館)の一部の可能性もあるとのこと。

戦国時代、有明海の海岸線はすぐ目の前だったはず。人々はこの地でどのような暮らしをしていたのでしょうか、興味は尽きませんね。
(嘉瀬公民館主催、参加者22人)