実相院(正式な名称は、河上山神通密寺実相院)は 真言宗御室派の寺院です。1087(寛治元)年、円尋と いう僧が與止日女神社に付属するお寺を建てたのが実 相院の始まりです。実相院は、室町時代には最も有力 な勢力をもち今日に至っています。戦国時代に、実相 院一帯で大きな戦いがあり、そのときに約80カ所あったお寺の施設がことごとく焼かれました。その後、こ のあたりを支配していた龍造寺が周辺の豪族に働き掛 けをして、1573(元亀4)年に現在の実相院が完成し ました。実相院では毎年4月に、お経会が行われてい ます。お経会は円尋のころから始まり、途中、2回中 断をしましたが現在まで続いています。毎年4月10 日から始まり20日に終わります。お寺の入口にある仁王門は、八脚門です。 正面の額の裏には1643(寛永20)年という年号が書かれてていて、この頃の建物と考えられ ています。江戸時代前半の建造物は佐賀県の中でも数少なく大変貴重なものです。門の中の仁王像は寄木造りの像です。高さが 約2m60㎝もある大きな像ですが、長い年月 の間に腕や天衣が落ちていました。 しかし、多くの方々の寄付などによって、 1996年5月までにみごとに修復され、昔の 威厳を取り戻しました。この像について、古 い資料から江戸時代の初頃に京都の仏師によ って造られていたことが推定できます。台座 には江戸時代前半の1643年の年号が発見さ れましたが、仁王像とは木材が異なり、像の できに対して台座が簡略なことから、仁王像 の造られた年代はやや古くなる可能性もある そうです。
毎年4月に行われるお経会