「移住者が見てきた三瀬村」これからの三瀬村を考えるために

三瀬公民館

三瀬公民館

 3月18日(土) 三瀬公民館が主催し、三瀬村に移住され現在も村内でご活躍中の方々からお話を伺う講演会を開催しました。

 三瀬の人口は減り続けており、現在、2年前から60人減の1,145人(2023.2月末)です。つまり、三瀬村には日々の暮らしをいかに維持していくかという課題とともに人口減少を緩和し新たに人が入ってくる三瀬にしていくという課題があります。20230322111103-5db3245b4f029e708988fae0a5aa22e3f8a36f7d.png

 そういった観点から、現在ご活躍中の移住者が、どんな魅力や可能性を求めて三瀬村に移住され、住み続け、今どんな思いでいらっしゃるのか等のお話を伺い、そこに、これからの三瀬を考えるヒントや気づきを少しでも得られたらというのが、この講演会の狙いでした。20230322105728-7fabae9077cf8de887284662b999c915acc15cf2.jpg

 冒頭、館長から、三瀬の人口の実情とともに昨年の小さな拠点検討会の報告内容から、三瀬村の人口推移予測をお伝えしました。このまま推移すると、今後5年前後で三瀬村の人口が1,000人を切ることになります。どんな方策が考えられるか、真剣に考えなければという気持ちになります。

本日の発表の聞き手を、ご自身も移住者のNPO法人Murarkの堀智子さんにお願いしました。

 発表の最初は、中鶴地区で農業を経営されている山口光重さんのお話しでした。20230322110005-90e688c287a5a5f5463ee2481b0d66a056fe02a7.jpg 山口さんは、移住以前にご自身に体の不調があったこともあり、三瀬の人の優しさ、自然の季節の変化の楽しさ、地域の文化、地場農産物の美味しさなどに惹かれて、2011年に移住してこられたそうです。20230322110248-67231f0c7ad5677e799a7a3c9fc6183acd8f8b20.jpg ですから、山口さんが外に向かって伝えたいことは、ご自身が感じてきた長年変わることのない三瀬の良さということでした。

 続いてお話をいただいたのは、井手野地区で米と椎茸の栽培を行っておられる山下琢磨さんです。20230322110354-655468c3056ddbfba30a4ad63940dabad56970e1.jpg 元は国防の仕事に身を置き都会暮らしをされ、そんな中で将来は自由になる土地で自分の時間を使いたいとの思いを持たれ、先に三瀬に土地を取得され、その後移住してこられたそうです。20230322110427-ac4ea84197efa23cc30b05695ef6db909bb11895.jpg 一番の魅力は、付加価値を求めるシイタケ栽培やあこがれのログハウスのDIYなど、ご自分がしたい目標を見付けながら自分らしい生き方が追及できるということであり、しかも故郷としての自然や食材の豊かさを享受でき都会の利便性にも浴しえることだと感じておられます。

 最後のお話は、2005年に移住され、現在体験農園の運営や三瀬老人クラブ会長をやっておられる、元佐大教授の田中欽二さんからいただきました。20230322110503-09ee69bad22af372463980ce4e22bbebedb5deee.jpg 大学では当初植物病理学をやっておられたのが、農薬への問題意識から有機農業の研究に移行されたとのことで、三瀬で有機農業をやれば、素晴らしい農産物の生産が可能で、三瀬では質的な優位性による農業が成り立つとの持論を発表されました。また、特にダムの上流となる三瀬の水は上質であるとの見解をお持ちです。20230322110622-f16979c20f990b23860339f93d41008902e8f02e.jpg かかる認識から田中さんは移住を実行され、理想の暮らしを追及され、そして人生百歳までの目標を追求されています。

 お三方の発表に引き続き、発表者全員と視聴者で短い討論を行いました。20230322110727-ed63231e8a42fbe5568906e71b93bbd59809d1af.jpg 農業中心の現行の取り組み方についての認識共有や三瀬の魅力のPRの必要性などのご意見、NHKの峠ん峡の効果の程度についての問いかけ、農業は国からトップダウンでくるとの見解、また、実行するための対話の重要性など様々な見解をいただきました。20230322110802-4b98ff47c965f3717e0c215cc132152565a186a1.jpg20230322110825-9ea11a116cfca7b37ee77898dfffa1bc6b248c41.jpg

 最後に、館長より、日本の過疎に直面した様々なまちづくりについて、この1~2年の間に三瀬で紹介された先行事例を改めてご紹介しました。スーパーを核とした生活支援態勢の構築を目指した例、地域の特性である森林・木材を核とする産業振興でまちづくりをけん引している例、地域経営の合同会社を創設した例、そして、特別の資源や態勢がある訳ではないが理想的な地域の姿を言葉として10箇条にして、その価値をまちを挙げて現実にしていく取り組みの例です。20230322111032-7e9cb72b0d6ead9d5a519fd6d7fa9b46cedb7c60.jpg

 これらの例で注目していただきたいのは、一つ一つの取り組みというよりは、いづれも、まちづくりについてのコンセプトが住民間で共有されてきたということにあり、三瀬村においてもこういった村を挙げて共有できるものを見出していくことが重要ではないかとの指摘をさせていただき、この講演会を終えました。