【報告】 第3回 合同さが学講座「発掘調査でみえた高輪築堤のすがた」

諸富町公民館

諸富町公民館

日 付:令和5年10月23日(月)

講 師:佐賀県立佐賀城本丸歴史館学芸担当係長・学芸員 
    藤 井 祐 介 さん

 さが学講座の第3回目が、諸富町・北川副公民館のオンラインによる合同形式で10月23日(月)に開催されました。

 前回のさが学講座では「高輪築堤の英断と大隈重信の推進力」と題して、大隈重信が多くの批判にも屈せず鉄道建設を英断したこと。
 またその結果、海上築堤として鉄道を敷設することとなり、その理由として、国防優先の時代背景とそれに関係した様々な人物との闘い・葛藤を分かりやすく説明して頂きました。

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今回の講座では、先ず前回の講座で出された質問について
①    築堤技術は、在来の日本建築技術が用いられ、品川台場工事で用いられた技術などが確認される。
②    兵部省から国防上の理由により、高輪周辺の敷地提供の反発があったため、大隈重信の決断により海上築堤が実現したこと。
③    大隈重信の参議就任に反対した副島種臣と大隈との関係性についても、仲が悪い訳ではなく、それぞれの立場からの意見を貫いたこと。
との回答がありました。

 本題では、令和3年度(2021年度)の1年間、発掘調査を間近で見てきた藤井氏から、高輪築堤の「記録保存調査」の様子が現場写真を見ながら説明され、2027年には現在埋め戻されている現地保存部分が公開予定であること。調査成果の整理・検討等が行われ、報告書が作成されていることなどが紹介されました。

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そして、「変わりゆく高輪築堤を1年かけて見届けることが出来たのは、佐賀では私だけではないか。だからこそ私が見てきた高輪築堤のすがたを佐賀のみなさんにお伝えすることが私の使命と考えている。」と覚悟を語られました。
 また、藤井氏自らが撮影した記録保存調査の貴重な写真や、陸側と海側との石積みの違いなど建築工法を始めとして、藤井氏しか説明、語ることが出来ない内容が多く盛り込まれた大変貴重な講義となりました。

 なお、この講義が諸富町公民館と北川副公民館でのオンライン形式で行われ、それぞれの公民館の参加者にとっても大変有意義な講座だったと確信しています。