新栄さが学講座 【四】 「枝吉神陽」 ご報告 (R1)

新栄公民館

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 11月28日(木)、葉隠研究会理事・元佐賀県立図書館近世資料編纂室室長 大園 隆二郎さんをお招きして、「佐賀の吉田松陰」といわれた、枝吉神陽についてご講演いただきました。
 幕末において、藩の文教制度がもっとも見事と称されたのは肥前佐賀藩であり、江戸の昌平黌(昌平坂学問所)では、21年間の入学者のうち505名中39名が佐賀藩と、抜きん出ていたということです。その中でも軍を抜いて優秀だったのが枝吉神陽であり、弟の副島種臣の話によると、「兄神陽は、三万巻の書物を記憶しており、不明の文字の出所を尋ねると、その句は『資治通鑑』の何冊目の何枚めの何行目にある。」と答えたといい、その記憶力は計りしれないほどだったということです。
 また、「惻隠(そくいん)の心」(人をいたわる、心をよせる、共感する)を持った人であったといい、年配者を敬い、子どもには声をかけるなど、親しみやすい人柄であったということでした。
 功績としては、「日本一君論の唱道」、「史学、儒学に対する考え」、「葉隠聞書校補」の編纂、日本の歴史研究を昌平黌の中に位置づける、楠正成父子を祭る義祭同盟の創立などがあるとのこと。
 その他多くの人に影響を与えており、長州藩の吉田松陰に、「肥前にいくなら、枝吉を尋ねてみよ。奇(すぐれた)男子である。」とまでいわせたその人物像、そして他人からの批評を気にしていた種臣に「何のために学問をしているのか!」と激しく怒ったという話に、そもそも学問とは何なのか?自分を高めるものであって、他人に評価されるためではないと、現代の私たちにも熱くメッセージが送られているような気がしました。

 今年度のさが学講座は今回で終了いたしました。全講座受講された方には、記念のファイルをお贈りいたしました。

講師の大園隆二郎さん
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文献から想像される神陽の顔?
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会場の様子
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全回参加された方へ記念のファイルを進呈(令和元年度版)
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