9月2日、高木瀬公民館で、佐賀県立佐賀商業高等学校情報処理科の生徒による「高齢者のためのスマホ教室」が開催されました。
この教室の講師を務めるのは、先生ではありません。
佐賀商業高校の生徒たちです。
高齢者の方と高校生がペアになり、スマートフォンの使い方を一対一で教えていきます。
「スマホの操作を教える」ことから始まる時間ですが、そこには、世代を超えた「学び合い」がありました。
「やりたい」を形にするのは、生徒たち
今回のスマホ教室は、公民館が主催する教室です。
しかし、教室の内容や進め方を考えるのは高校生たち。
公民館は、生徒たちの「こんなことをやってみたい」という思いを受け止め、必要なときにアドバイスをする役割を担っています。
つまり、生徒が主体となってつくるスマホ教室です。
5月頃から、高木瀬公民館、神野公民館、そして佐賀商業高校の生徒たちの三者で、教室の開催に向けた打ち合わせを重ねてきました。
高校生たちは、教室を「してもらう」のではなく、自分たちで考え、自分たちの「やりたい」を形にしていきます。
まずは高木瀬公民館でスタート
今年度は、まず高木瀬公民館で3日間の教室を開催。
そして舞台は、神野公民館へ。
高木瀬公民館での経験を持って、10月には神野公民館でも同じ教室を実施します。
ここに、この取り組みの面白さがあります。
高木瀬公民館での1回目の教室を終えたあと、生徒たちは、
「ここは分かりにくかった」
「もっとこうした方が伝わるかもしれない」
「こんな質問があった」
といった振り返りを行います。
そして、その気づきを生かして、2回目となる神野公民館での教室をブラッシュアップしていく。1回目の経験が、2回目の学びにつながる仕組みです。
「やってみる」→「振り返る」→「工夫する」→「もう一度やってみる」。
教室そのものが、高校生たちの実践的な学びの場になっています。
Wi-Fi設定も検索も、一緒にやればできる
高木瀬公民館での初日のテーマは、Wi-Fiの設定や検索について。
スマートフォンを使う上で身近な内容ですが、一人で設定するとなると「よく分からない」という方も少なくありません。そこで高校生が隣に座り、参加者一人ひとりに合わせて、一緒に操作します。
一斉に説明を聞く授業とは違い、一対一だからこそできるサポートがあります。
「ここを押してください」
「次はこの画面です」
「できましたね!」
高校生の声を聞きながら、高齢者の方が一つひとつ操作していきます。
分からないところがあれば、すぐに聞くことができる。
高校生にとっても、相手の理解度を見ながら説明する経験になります。
スマホを通して生まれる、世代を超えた会話
もちろん、この教室の目的の一つは、スマートフォンの使い方を身につけること。
でも、それだけではありません。
高校生と一緒にスマホを操作し、会話をする。
普段とは違う世代の子どもたちの話に耳を傾ける。
スマホを学ぶ時間であると同時に、高校生との交流の時間にもなっています。
高校生にとっては「教えること」が学びになる
一方、高校生にとっても、この教室から得られるものは大きいものがあります。
スマートフォンについての知識があるだけでは、人に「教える」ことはできません。
相手がどこでつまずいているのかを考える。
相手に伝わる言葉を選ぶ。
相手のペースに合わせる。
質問に耳を傾ける。
そして、できたときには一緒に喜ぶ。
そこには、教科書だけでは学びにくい、対人スキルやコミュニケーション能力を身につける機会があります。
出番・役割・承認という、子どもへのまなざし
この取り組みを見ていると、子どもたちの成長を支える大切なキーワードが浮かんできます。
「出番」
「役割」
「承認」
高校生には、「教える」という明確な出番があります。
「あなたに教えてほしい」と頼られることで、自分の知識や力を誰かのために生かすことができます。
そこには、自分自身の役割があります。
そして、
「ありがとう」
「分かりやすかった」
そんな高齢者の方からの言葉が、高校生にとっての承認になります。
「自分は誰かの役に立つことができる」
そう感じられる経験は、子どもたちの自己有用感を育てていきます。
子どもは、学校だけで育つわけではありません。
地域の中で誰かと出会い、誰かに頼られ、誰かの役に立ち、「ありがとう」と言ってもらう。
そんな経験の積み重ねが、子どもたちの自己有用感につながっていくのではないでしょうか。
今回のスマホ教室では、高齢者の方が「学ぶ人」で、高校生が「教える人」。
でも、実際には一方通行ではありません。
高齢者の方は高校生からスマホを学び、高校生は高齢者の方との関わりから多くを学ぶ。
世代を超えて、お互いに学び合う。そんな地域の「学びの循環」が広がっています。
◆まなざしタウン 高木瀬校区、神野校区
佐賀市教育委員会
社会教育課
子どもへのまなざし運動・若者支援推進室
~できる人ができる時にできる範囲で~
★子どもへのまなざし運動 推進中!★





